印鑑・はんこ・印章とは
言葉というものは、その時代、時代で意味や呼び名が変わったりするものですが、実は印鑑もその一つです。本来の”印鑑”の意味とはハンコを押印した印影のことで、その印影の中でも実印や銀行印など、地方自治体や金融機関にあらかじめ提出している特定の印影を指して”印鑑”と言います。
よって名前が彫刻してあるだけのハンコは印鑑とは言わず、ハンコ(はんこ・判子)、はん、または一般的にあまり馴染みはありませんが、正しくは印章と言います。
しかしハンコを生業とさせていただいてる私でさえも”印章”という言葉を使うことはほとんどありません。それくらい”印鑑=はんこ”という言葉が世間一般に浸透し、”印鑑”の方が”はんこ”よりも多用されている気さえします。
『現在ではこうこうこういう意味で使われていますが、本来はこういう意味でした』なんてよくある話です。ハンコが印鑑に取って代わられる日が来るかもわかりません。
ちなみに”はんこ”と”ハンコ”は全く同じ意味を持つ言葉で、ひらがなとカタカナの違いだけですが、当サイトでは”はんこ”の前後が”ひらがな”の場合に”ハンコ”と表記しています。
- 歴史編
- 現存する最古の印
- 印鑑制度の始まり
- その他のいろいろな印
- 私印の始まり
- 官印制に代わる花押の始まり
- 僧侶の印
- 戦国武将の印
- キリシタン大名の印
- 徳川歴代将軍の印
- 現在の印鑑制度
- 書体の歴史と移り変わり
種類編
個人のはんこ
実印
- 登録
- 住民登録をしている市区町村の役所や役場に印鑑登録。
- 用途
- 不動産の売買・賃貸借、自動車の売買・譲渡、法人の発起人となるとき、遺産相続、遺言など。
- ポイント
- フルネーム彫刻がおすすめ。
銀行印
- 登録
- 銀行などの金融機関に印鑑登録。
- 用途
- 口座開設、金銭の出し入れなど。
- ポイント
- 姓のみで十分ですが、既製品ではなくオーダー品が安全。
認印
- 用途
- どこにも登録していないハンコの呼称で、印鑑証明のいらない書類作成、一般事務など。
- ポイント
- 既製品でも十分ですが、認印も捺印すると実印に準じた責任が伴います。
訂正印
- 用途
- 書類、帳簿、伝票などに記入した文字の誤りを訂正する場合に使用。
- ポイント
- 大きさに規定はありません。訂正箇所のスペースによって使い分けます。
- 簿記用は小さい方が使い勝手がよく、5~6ミリの丸型や小判型が主流。
会社のはんこ
会社の実印
- 登録
- 本店所在地の法務局に印鑑登録。
- 用途
- 登記申請、株券発行、重要な契約など。
- ポイント
- 会社名と代表役職名の併記がおすすめ。
会社の銀行印
- 登録
- 銀行などの金融機関に印鑑登録。
- 用途
- 口座開設、金銭の出納、手形や小切手を振り出すなど。
- ポイント
- 実印との兼用ではなく、銀行印専用が安全。
役職印
- 用途
- 登録の義務はなく、役職名を入れる。社内文書など。
- ポイント
- 役職が判別しやすい書体がおすすめ。
角印
- 用途
- 登録の義務はなく、会社の認印的な存在。請求書、見積書、領収証など。
- ポイント
- 印字された社名の横もしくは社名にまたがって押印。
割印
- 用途
- 登録の義務はなく、2枚以上の書類にまたがって押印。
- ポイント
- 割印が押印された複数の書類が対である証明になる。
趣味のはんこ
落款印
- 用途
- 書・絵画・蔵書・手紙・魚拓など。
- ポイント
- 姓名は白文、雅号は朱文が一般的。
蔵書印
- 用途
- 書物の所蔵を明らかにするための印。
- ポイント
- 本の最初もしくは最後のページに押印。
はんこに適した印材
素材 | 代表的な印材 | 長所 | 短所 |
---|---|---|---|
木製の印材 | 代表的なもので柘などの天然木や黒檀・アグニ・彩華などの圧縮加工木など | 天然の木目を活かした見た目が美しい。 | 朱肉の油分による経年劣化がある。 |
角系の印材 | 人間でいうところの『毛髪』や『爪』が固くなったもの。黒水牛・オランダ水牛・シープホーンなど | 適度な弾力性があり、衝撃吸収性が高く、破損に強い。 | 乾燥に弱く、変形、ひび割れ、虫食いに弱い。 |
象牙質の印材 | 人間でいうところの『歯』。代表的なもので象牙・マンモス牙・河馬牙・鯨歯など | 堅くきめが細かく、変形、摩耗、ひび割れ、虫食いに強い。 | 堅すぎるがため、衝撃吸収性が低く、固いところへの落下で枠などが欠ける場合がある。 |
樹脂系の印材 | 琥珀・ラクトなど | カラーが豊富でイラスト入りなどデザイン性や装飾性に富んでいる。 |
衝撃吸収性が低く、固いところへの落下で枠などが欠ける場合がある。 |
石系の印材 | 水晶・メノウ・翡翠・ラピスラズリなど | 天然石から人造宝石まで宝石印材として種類が豊富。 | 衝撃吸収性が低く、固いところへの落下で粉々に割れる場合がある。 |
金属系の印材 | 純チタン・チタン合金など | 錆びない、熱に強い、欠けにくい、金属アレルギーがない。 | 重量があり冷たい。 |
はんこに使用される書体
篆書体
漢字の原型とも言うべき書体で印章用に改良しています。
細篆書体
篆書体の文字を細く、枠を太く仕上げた書体です。
隷書体
文字中央が上方に湾曲し、特に右への『はらい』が特徴の書体です。
行書体
筆で少し早書きした柔らかな書体です。
楷書体
筆で『とめ・はね・はらい』をしっかり示した書体です。
古印体
四隅の墨溜まりが特徴で日本独自の書体です。
印相体
篆書を印章の枠いっぱいに肉太く字入れした印章用の書体です。
用途で異なるハンコの形状
下記の4タイプはハンコに使用される形状と名称です。特に決まりはありませんが用途によって使い分けられ、丈はどれも60ミリが一般的です。
丸棒
丸形の印面から天頂部までストレート。個人用のハンコに使用される一般的な形状。
天丸
丸形の印面から天頂部の間にくびれがある。会社の実印などに使用される代表的な形状。
天角
正方形の印面から天頂部の間にくびれがある。会社の角印などに使用される代表的な形状。四隅はR加工されている。
寸胴
正方形の印面から天頂部までストレート。会社の角印などに使用される一般的な形状。四隅はR加工されている。
基礎知識編
署名と記名、捺印と押印の違いとは
署名と記名
契約書を作成する場合、契約当事者が自分の名前を記す方法として、署名と記名があります。署名とは、本人が自筆で氏名を手書きすることです。筆跡は人によって異なり、筆跡鑑定を行えば、署名した本人が契約した証拠として、その証拠能力はきわめて高くなります。これに対して記名とは、自署以外の方法で氏名を記載することです。
例えば、他人による代筆、ゴム印を押したもの、ワープロソフトで印刷する場合などです。記名は本人の筆跡が残らないため、署名に比べて証拠能力が低くなります。しかし、新商法第32条『この法律の規定により署名すべき場合には、記名押印をもって、署名に代えることができる。』と規定され、記名に押印を加えることで、署名に代えることができるとされています。
つまり、署名=記名+押印ということになり、契約においては押印は不要で、署名があれば契約は有効ということになります。しかし、日本では署名だけの契約書は不十分で、不安な感じがするのも事実です。一般的に署名にも捺印するというのが通例であり、署名の場合にも捺印してもらうのが安全といえるでしょう。法的な証拠能力としては、署名は盗難の心配がないため、証拠能力として高いと思われます。
- 証拠能力が高い順番
- ①署名捺印(+住所)
- ②署名のみ(+住所)
- ③記名押印(+住所)
- ④記名のみ(+住所)正式な効力とは認められない
- の順になっています。
捺印と押印
捺印と押印の違いにつきましては、どちらも“ハンをおす”という行為を表している言葉であり、「押捺」(おうなつ)という言葉もあるぐらい、全く同じ意味を持ち、使い分けられることも少ない言葉です。当店では、署名という行為が並行してあるものに捺印(捺す)の文字を使い、記名した場合や印鑑のみを押すだけの行為に対して、押印(押す)の文字を使い、両者を使い分けています。
人生の節目に登場するハンコ
この世に生まれた時…出生届
- 生れた日から14日以内に両親または同居者が医師の出生証明書と共に、最寄りの市区町村役場に届けます。
- 届出人の印鑑(認印でOK、シャチハタNG)
結婚する時…婚姻届
- 夫となる方および妻となる方の本籍地・所在地のいずれかの市区町村役場に届けます。
- 夫となる方および妻となる方の旧姓の印鑑(認印でOK、シャチハタNG)
- 成人以上の証人2名の印鑑。同姓の場合でも別々の印鑑(認印でOK、シャチハタNG)
離婚する時…離婚届
- 当事者の本籍地・所在地のいずれかの市区町村役場に届けます。
- 夫および妻の印鑑(認印でOK、シャチハタNG)
- 成人以上の証人2名の印鑑。同姓の場合でも別々の印鑑(認印でOK、シャチハタNG)
法律上の人為的な親子関係を結ぶ時…養子縁組届
- 養親、養子の本籍地または届出人の所在地のいずれかの市区町村役場に届けます。
- 成人以上の証人2名の印鑑。同姓の場合でも別々の印鑑(認印でOK、シャチハタNG)
- 届出人の印鑑(認印でOK、シャチハタNG)
引っ越しする時…住民移動届
- 転入は転入後14日以内に、転出は転出予定日までにそれぞれの届けに捺印して、最寄りの市区町村役場に提出します。
- 届出人の印鑑(認印でOK、シャチハタNG)
家、土地など不動産を購入する時
- 購入はもちろん、借貸・売買のすべてに実印と印鑑証明が必要。
亡くなった時…死亡届(葬儀社に届出代行を依頼しない場合)
- 死亡の事実を知ったときから数えて7日以内に親族や同居人が医師の死亡診断書と共に、最寄りの市区町村役場に届けます。
- 届出人の印鑑(認印でOK、シャチハタNG)
印章偽造の罪と罰
印章(印鑑)に関する法律を簡略化してまとめてみました。
刑法 | 罪 | 罰 |
---|---|---|
第164条 | 行使の目的で、天皇の印章(印鑑)、国家の印章(印鑑)、天皇の名前を偽造および使用 | 2年以上の懲役 |
第165条 | 行使の目的で、公務所、公務員の印章(印鑑)又は署名を偽造および使用 | 3ヶ月以上5年以下の懲役 |
第167条 | 行使の目的で、他人の印章(印鑑)又は署名を偽造 | 3年以下の懲役 |
第168条 | 第164条~第167条の第2項の未遂 | 罰せられます |
実用編
きれいな印鑑を押印するコツとは
印面に朱肉を付け過ぎず
まずは、前回ハンコを使用した時の朱肉が残っていれば、ティッシュやガーゼなどの柔らかいもので印面にのこった朱肉をきれいに拭き取ります。
朱肉を付け過ぎるとかえって鮮明な印鑑が得られません。とは言っても、現在は朱の油をスポンジに染み込ませたタイプの朱肉が大半ですので、朱の油の付きムラも少なく、さほどむずかしいことはないかと思います。
押印のコツは
押印の際は捺印マットを下に敷き、捺印マットがない場合は、用紙10枚程度を用意し、適度な力加減で重心を”の”の字を書くように、また”逆の”の字を書くように戻ったら、そっと紙から印面を離します。
落款印などに使用する紙が和紙などの目が粗い場合は、上記の手順で押印した後、勢いよく印面を和紙から離すのではなく、かなりゆっくりと離します。これを行うことで、和紙の方に朱肉が残ってくれるはずです。
押印し終わったらティッシュやガーゼなどの柔らかいもので印面にのこった朱肉をきれいに拭き取ります。印面をティッシュやガーゼに軽く押し付けて、時計回り、反時計回りと印面を回転させて拭き取るとすばやくきれいに出来ます。よほど材質が劣化していない限り、少々力強く拭いても枠や文字が破損したりすることはありません。印面を常にきれいに保つことが、きれいな印鑑を得るためのコツです。
それでもダメなら原因は朱肉にあるかも
取扱いが簡単なスポンジ朱肉ですが、フタをして保管していてもスポンジ表面は乾燥しやすく、定期的に朱油を補充しなくてはいけません。補充の目安としては1平方センチあたり1滴落とし、表面をならします。しばらく時間をおいてインクをスポンジに馴染ませたせ様子を見てください。
補充には必ず専用の朱油をご使用ください。メーカーや製品ごとに成分が異なり、混ぜてしまうと化学反応により使用できなくなる場合がございます。
印鑑を押印するベストな場所とは
印鑑を押印する場所については特に規定はございませんが、実印は印鑑証明書の印鑑(印影)と照合しますので文字と重なるような押し方は避けるべきです。よく会社の角印などが住所や社名などの文字の上に押してありますが、角印は実印ではなく照合の必要がないので特に構わないとされます。
また、記名や署名は印鑑と一体となって初めて当事者の意思の確認という意味になり、あまり間を離して押印すると効力に疑問が残りますのでご注意ください。と言うことで一番良いのは、文字に重なることなく離しすぎない場所ということで、記名や署名のすぐとなりが印鑑を押印する一番良い場所になります。
- 署名(記名)のすぐ横に捺印(押印)
- 一番よい押し方です。
- 署名(記名)に重ねて捺印(押印)
- 文字と重なってしまい、印鑑がわかりにくいため、照合が必要な実印の場合はあまり親切な押し方とはいえません。
- 署名(記名)とかなり離して捺印(押印)
- 文字と印影が離れすぎており、トラブルになる場合も。
- 印マークで押し場所が指定されている場合は問題ないです。
印鑑を押し違えてしまった場合は
印鑑を押し違えてしまったり、印鑑が薄かったからと、その上に重ねて押しては絶対にいけません。押印を失敗した場合の訂正方法を2パターンご紹介します。但し、以下の2パターンのやり方で押印ミスした印鑑を抹消したあと、その隣に再度印鑑を押し直すことが前提です。
パターン1/ボールペンで二重線を引いて抹消し、その横に再度押印する。
- メリット
- 第三者が見た時、ひと目で印鑑の押印ミスだと分かりやすい。
- デメリット
- ボールペンと定規が必要。
パターン2/同じ印鑑を用いて抹消し、その横に再度押印する。
- メリット
- ボールペンがなくても、その印鑑さえあれば抹消できる。
- デメリット
- 第三者が見た時、印鑑が多く、ひと目で印鑑の押印ミスだと分かりづらい。
パターン1のようにボールペンで二重線を引いて印鑑を抹消し、その横に再度印鑑を押し直した場合のトラブルについて色々と思案してみましたが、特に問題ないようです。押印ミスの印鑑と同じ印鑑が隣に押してあることで、押印ミスした本人が二重線で抹消したことは明白です。
但し、ボールペンで二重線を引いて印鑑を抹消してあるが、その横にやり直しの押印がない場合、誰が二重線で印鑑を抹消したのか疑義が生じます。
- ボールペンで二重線を引いて抹消してあるが、その横に押印がない
- 本人が認めて一度は押印したが、ボールペンで抹消したパターン。
- 本人が認めて押印したが、第三者が後から悪意をもってボールペンで抹消したパターン。
結論ですが、押印ミスをしたが再度押印をやり直さない場合は、後々疑義が生じないよう二重線での抹消ではなく、同じ印鑑を用いて抹消した方がいいようです。
印鑑はんこ使用上の注意5ヶ条
①白紙委任状には印鑑を押印しない
本人自身が契約や登記などを行う代わりに、代理人にそうした行為を委ねる旨を書いた書面を委任状といいます。この便利な委任状ですが、委任内容や代理人の記入欄を空白にして作成したものを白紙委任状といいます 。
白紙委任状は、委任の内容がまだはっきりと定まっていないときなどに預けたりするものですが、委任内容や代理人を勝手に書き込まれる可能性があり大変危険です。同様に委任状にいわれるがまま捨印を押したりすると、勝手に委任内容などが書き換えられてしまう危険性があり、安易な捨印はしないようにしましょう。
②ハンコは他人に貸さない、預けないこと
『金は貸しても印は貸すな』説明するまでもないかと思いますが、“ハンコは他人に貸さない預けない”これは家族とて同様です。家族が他人にだまされる可能性もあるからです。いくら信頼関係でなりたっている家族とて、時には心を鬼にしてお断りしましょう。
③捨印はむやみに押さない
捨印とは契約書などの文書の内容に訂正がでた場合に、前もって訂正印になる印鑑を欄外に押しておくことです。これによって後日、訂正が必要なときにわざわざ相手の訂正印をもらいに行かなくて済みます。
このように契約書を受け取る側にとっては手間が省けて都合のいいことですが、渡す側にとっては訂正があるかどうか分からない段階において印鑑を押すため、知らないうちに内容を書き換えられトラブルに発展する恐れがあります。
しかし、捨印による訂正は”あきらかな誤記の部分”に限られ、契約当事者が意図していない”契約内容の重要な部分”の捨印による訂正は原則、認められていないようです。
なにげに“捺さされてしまう”捨印ですが、銀行の口座振替などの手続きをする際に郵送ハガキの書面で見かけますが、銀行は信用で成り立っているため、トラブルに発展する可能性はあまりないとは思いますが、普段なにげなく押している捨印の意味はよく理解しておいたほうが良いでしょう。
捨印を押印したからといって不利益を被ることは少ないにせよ、ムダなトラブルを未然に防ぐためにも不安があれば、契約書に捨印をしないか、訂正箇所が見つかったら連絡をもらうようにし、捨印がないと受け付けてもらえなかったり、手続きが先に進まず、やむを得ず捨印を押印しなければならない場合は契約当時のコピーを取っておくとよいでしょう。
④保証人の押印は、万一の場合は自分が弁済することを忘れないこと
借りたお金やローンの返済期限が来てもそのお金を借主が返せないときなど、代わって返済の義務を負うのが(連帯)保証人です。義理で借金の保証人を依頼されても、万一の場合は自分が弁済する覚悟があって始めて、印鑑を押印しなければなりません。
借金の保証人
- 連帯保証人
- 下記3つの権利(催告の抗弁権・検索の抗弁権・分別の利益)が認められていない、絶対に言い逃れが出来ない最もきびしい保証制度。仮に保証人が複数の場合でも一人一人がそれぞれが債務の全額支払い義務を持っています。
- 保証人の実印と印鑑証明が必要。
- 単純保証人
- 下記3つの権利(催告の抗弁権・検索の抗弁権・分別の利益)が認められています。
- 保証人の実印と印鑑証明が必要。
- 【催告の抗弁権】”お金を貸している人”から借金の請求を受けた保証人が、まずは『借金している本人に請求して下さい』という権利。
- 【検索の抗弁権】”お金を貸している人”から借金の請求を受けた保証人が、まずは『借金している本人の財産を差し押さえて下さい』という権利。
- 【分別の利益】保証人が数人いる場合、返済額をその人数で割った金額についてのみ支払義務がある権利。
身元保証人
- 身元保証書
- 入社時に会社へ提出する身元保証書は、社員本人(保証した人)が会社の金を持ち逃げしたりして会社に損害を与えた場合、保証人が社員本人と連帯して損害を賠償する旨を誓約する書類です。身元保証人の責任範囲は次の事項を考察して決めます。
- 使用者側の監督不十分、その他の過失。
- 社員本人の仕事が不適任で日頃の行いが悪いと身元保証人が聞いた時。
身元保証の有効期限は5年が上限です。保証が継続されていない場合、損害賠償責任はありません。
身元保証人は実在する証明として署名捺印に加え、実印と印鑑証明書を求められる場合があります。
⑤三文判は同型印が多く危険です
三文判とは、出来合いの安価なハンコをいいますが、現在では、はんこ屋、文房具店、ホームセンターなどのあらゆる場所で販売され、中には100円切るような値段で手に入るようになりました。これらは大半が機械で量産された同型印です。
例えば“田中”という姓の三文判を違う2つのお店で購入したとしても同型の可能性がないわけではないのです。もしくは同じものを探し出すことも不可能ではないでしょう。
このようなハンコを実印として印鑑登録したり、大事な契約や金融機関への届出印として使用することは、危険この上もないことです。
はんこのメンテナンス
長年の使用で紙や朱肉の繊維で印面が目詰まりして鮮明な印鑑が押印できなくなった場合は、下記のメンテナンスを行うことできれいな印鑑(印影)がよみがえる場合がございます。
朱肉で押印後は印面に付着した朱油をガーゼで拭きとってください。ティッシュで拭くと摩擦で繊維がほどけやすく目詰まりの原因になるので△。
はんこの素材 | 代表的な印材 | 水洗い | 磨き |
---|---|---|---|
木製のはんこ | 柘などの天然木や黒檀・アグニ・彩華などの圧縮加工木など | 印面の大まかな汚れは爪楊枝を使って除去し、乾いた歯ブラシで軽くブラッシングしてください。 |
|
角系のはんこ | 黒水牛・オランダ水牛・シープホーンなど | 印面が朱肉や繊維で目詰まりしている場合は、歯ブラシに石鹸または中性洗剤を付けて軽くブラッシングして水洗いしてください。 | はんこ側面に小キズやくもりがある場合、ネルにコンパウンドを少量付けて軽く磨いてください。光沢が甦ります。(印面には使用しないでください。)染加工の黒水牛は色落ちするため磨き不可。 |
象牙質のはんこ | 象牙・マンモス牙・河馬牙・鯨歯など | 同上 | はんこ側面に小キズやくもりがある場合、ネルにコンパウンドを少量付けて軽く磨いてください。光沢が甦ります。(印面には使用しないでください。) |
樹脂系のはんこ | 琥珀・ラクトなど | 同上 | 同上 |
石系のはんこ | 水晶・メノウ・翡翠・ラピスラズリなど | 同上 | |
金属系のはんこ | 純チタン・チタン合金など | 同上 |
- 上記メンテナンスは素材が極端に劣化したハンコにはお避けください。
- 文字印面部に墨などの顔料が塗られている場合がございます。はんこを水洗いされる場合はその顔料が洗い流される場合がございますが、押印には特に問題ございません。
- 朱肉などで汚れたガーゼは、石鹸でもみ洗いしていただくときれいになります。
日本にお住まいの外国人の方へ
平成24年7月の法改正により、日本に居住の外国人住民の方にも日本人住民同様に住民票が作成可能になりました。住民票上の【氏名】【通称】【氏名のカタカナ表記】のいずれかを元に印鑑登録が可能です。以下の例をご参照ください。
Jackson Michael Joseph | 氏名の印鑑 | ||
---|---|---|---|
Jackson Michael | ミドルネームを省略した印鑑 | ||
Jackson | ラストネームのみの印鑑 | ||
Michael | ファーストネームのみの印鑑 | ||
Jackson Joseph | ラストネームとミドルネームの印鑑 | ||
Michael Joseph | ファーストネームとミドルネームの印鑑 | ||
J.M.J | イニシャルの印鑑 | ||
J.M | ミドルネーム省略したイニシャルの印鑑 |
雀尊 マイケル | 氏名の印鑑(通称) | ||
---|---|---|---|
雀尊 | ラストネームのみの印鑑(通称) | ||
マイケル | ファーストネームのみの印鑑(通称) |
ジャクソン マイケル ジョセフ | 氏名の印鑑(カタカナ) | ||
---|---|---|---|
ジャクソン マイケル | ミドルネームを省略した印鑑(カタカナ) | ||
ジャクソン | ラストネームのみの印鑑(カタカナ) | ||
マイケル | ファーストネームのみの印鑑(カタカナ) |
Joseph | ミドルネームのみの印鑑 |
---|---|
J.J | ラストネームとミドルネームのイニシャルの印鑑 |
M.J | ファーストネームとミドルネームのイニシャルの印鑑 |
マイ | ファーストネームまたはラストネームの一部のみの印鑑 |
マイケル Michael | 通称と氏名を併記した印鑑 |
雀尊 Michael | 通称と氏名を組合わせた印鑑 |
Jackson マイケル | 氏名とカタカナ表記の組合わせた印鑑 |
歴史編
現存する最古の印
日本ではいつ頃からハンコが使われるようになったかということはそれを裏付ける確かな資料がないため定かではありませんが、日本に現存する最古の印は現在、国宝に指定されている『漢委奴国王』の金印で、天明4年(1784年)筑前国糟屋郡志賀島(現在の福岡県福岡市東区志賀島)で発見されたものです。
後漢の光武帝が中元2年(57年)に日本の『倭奴国』に金印を授けたという記録が『後漢書』にありますが、まさにその印であるといわれています。
しかし金印は中国・漢朝廷から贈られた印であり日本製ではありません。日本製の現存する最古の印は『大連之印』です。大連は大和朝廷における最高の官職で、第十一代垂仁天皇の頃に初まり、第三十五代皇極天皇の即位まで続き執政を担いました。『大連之印』はその官印です。
印章制度の始まり
中国の官印(役所で使用される印)の制度が日本で整備されたのは奈良時代で、大宝元年(701年)律令制が整ってからだといわれています。日本で初めて種々の公印(公務で使用する印章)が製作され、下記の4種類(内印・外印・諸司印・諸国印)に大別されます。
その他のいろいろな印
私印の始まり
私印(当時は家印をさし、個人の印章)は奈良時代後期に発生し、当時はまだ原則的に私印の製造、使用は禁止されていましたが、公印に準ずる印として『軍団印』『郡印』『寺社印』などがありました。
- 軍団…各国に複数配置され国の守備のため駐屯した軍団。それぞれの地方の出身者で構成されている。
- 郡…律令制での行政区画の一つ。国の下に位し、郡司が管轄した。この下に郷・里がある。現在でもその名が残る地方がある。
官印制に代わる花押の始まり
平安時代中期から末期のかけて、官印がほとんど使われない時代があり、代わって花押(かおう)が広く用いられるようになります。花押は公家、領主、武将などが用いたもので、一般庶民はなお拇印、爪印などを文書に押していました。
僧侶の印
鎌倉時代になると宋との貿易で種々の文化が導入され、僧侶などの私印が作られます。これらは室町・桃山時代にかけて盛んになりました。
戦国武将の印
時も戦国時代に移り、戦国武将は花押と併用して私印を盛んに用いるようになりました。印文にもそれぞれ趣向をこらし、権力と威厳を表現しようとしました。織田信長の『天下布武』の印、上杉謙信の『地帝妙』、豊臣秀吉の『豊臣』の印、徳川家康の『福徳』の印などは有名です。
キリシタン大名の印
戦国時代に現在の九州の大名が用いたローマ字印です。豊後国を本拠に治めた大友氏21代当主『大友宗麟』、正室が細川ガラシャで有名な豊前国小倉藩の初代藩主『細川忠興』、NHK大河ドラマ『軍師 官兵衛』で知られる筑前国福岡藩の藩祖『黒田如水』。キリシタン大名であった大友宗麟と黒田如水は印文に洗礼名である『フランシスコ』と『シメオン』を用いています。
徳川歴代将軍の印
慶長8年以降、260年あまりに渡って江戸幕府の執政を行った徳川歴代将軍の印です。二重の枠に篆書体が特徴です。
現在の印鑑制度
以来時代の変遷とともに、一般庶民の生活にも深く浸透していったハンコは、明治6年(1873年)10月1日、太政官布告で署名のほかに実印を捺印する制度が定められました。ハンコが正式に市民権を得た日を記念して、10月1日が『印章の日』となりました。
書体の歴史と移り変わり
篆書体
篆書は中国初の統一国家と言われる秦の時代(紀元前221~206年)、秦の始皇帝の命により、それまでにつくられた漢字をまとめて正式に統一書体として採用された文字です。正確には『小篆 』と言い、まだ紙が発明される以前に、主に青銅や石鼓に刻まれていた書体です。日本の紙幣に捺されている印影がそれで、日本銀行の『 総裁之印』と印されています。非常に歴史と由緒ある書体です。
隷書体
隷書は前漢の時代に篆書(小篆)の繁雑さを省き、一般人にも解しやすいように、より実用的にと簡略化され生まれた書体です。紙が発明される前に木簡や竹簡に書かれた実用的な書体で、石に刻していた篆書から、木簡・竹簡に適するように早書きできる隷書へ移り変わっていきます。 文字の横画は水平で、横画を右に”はらう”のが特徴です。
草書体
草書は隷書を簡略化した『章草』をさらに略した書体で、隷書の早書きから生まれました。はじめは木簡や竹簡に書かれていましたが、紙の発明とともに草書体が発達しました。簡略化により横画は隷書の水平から右上がりになり、文字のよっては判別しにくい文字もあります。日本の平仮名は平安時代に草書体をベースに生まれました。
行書体
行書は後漢に生まれ、楷書と草書の中間に位置する書体です。隷書や楷書よりも速記に優れ、草書よりも判別しやすいということから生まれた書体です。製紙の発達で急速に広まりました。
楷書体
隋・唐の時代になると楷書が広く使われるようになりました。隷書をさらに書写に合うように改変する中で草書が生まれ、その対置である正書として楷書が生まれた。
古印体
古印体は大和古印の伝統を受けつぎながら、隷書を元に丸みを加えた書体です。大和古印は奈良・平安時代に日本で作られ使用された鋳銅製の印章で日本独自のものです。官印として公文書などに使用されました。鋳造によって生じた線の切れ目や墨溜まりが特徴です。
印相体
篆書を基礎にして意匠化したもの。印象が柔らかく、今最も多く使われている優れた書体です。篆書を印章の枠いっぱいに肉太く字入れした印章用の書体です。