ハンコになぜ朱肉を使うのか-はんこ豆事典
朱肉とは
朱肉とは印肉 とその容器を含めた総称で、プラスチック製容器に入ったスポンジ朱肉タイプの一般的なものから、焼物や金属製容器に入った練朱肉タイプの本格的なものとあり、朱肉発祥の中国では 印泥と言います。
スポンジ朱肉・練朱肉・印泥の違い
- スポンジ朱肉
- 朱色の顔料を松脂などに混ぜた朱油 を絞ってインキ状にし、フエルトやスポンジに染み込ませたもの。
- スポンジ朱肉のメリット
- 朱油が印面へムラなく均一に吸着するため、押印がしやすく取り扱いが簡単。
- 押印後の乾きがはやい。より乾きが早い速乾タイプもある。
- 専用の朱油で補充も簡単。
- スポンジ朱肉のデメリット
- 印影に厚みがなく、鮮明さに欠ける。
- 練朱肉に比べ、印影の保存性(退色)に欠ける。
- 練朱肉
- 日本の練朱肉のルーツは印泥で、ひまし油に松脂と木蝋を加えて混ぜて加熱し、どろりとした油を作ります。これに朱肉の顔料を加えて混ぜると朱油になります。さらに朱油に和紙などの繊維質を加えて練り上げたもの。
- 印泥
- 中国の辰州で産出する辰砂を粉末にして水に溶き、ヨモギの繊維とひまし油を混ぜて練り上げたもの。明るい朱色の『光明』や濃い赤の『美麗』が価格も手頃で有名です。いずれも中国製の印泥で写真は『美麗』。
- 練朱肉・印泥のメリット
- 印影の長期保存に長けており、紫外線による退色がないため、いつまでも鮮明な印影が残せる。重要書類向き。
- 印影に厚みがあり鮮明。
- 黄色みがかった黄口や赤みがかった赤口など色味が多い。
- 練朱肉・印泥のデメリット
- 高級品ほど腐りやすく、時々ヘラでかき回して泥質を均等な状態で保管しないといけない。
- 印面に印肉を均等に付けるのにコツがいる。慣れるまでは人差し指に印肉を付けてから、指で印面へ付ければ良い。
- 押印後の乾きが遅い。
朱肉とスタンプ台の違い
- 朱肉は光(紫外線)や水に強い
- 朱肉は色の結び付きが強く、光にさらされても色が退色しないため、奈良時代(西暦700年代)の文書に押印してある印影が鮮やかに残っています。
- ハンコに朱肉を使うのは、水に浸けても溶け出さず、滲みもないため、長期保存に適しています。
- ゴム印用のスタンプ台ではダメ?
- ゴムは油に弱く油性インクでゴム印を押印していると、ゴム表面から溶けてゆき傷みが早いため、スタンプ台は染料を水に溶かした水性インクが主流。
- 水性インクは光にさらされると分解されて色が退色し、水に浸けると溶け出し、滲む。